◆ 呼吸器疾患(かぜ・肺炎・気管支炎・肺気腫・COPD・ぜんそく・慢性呼吸不全・在宅酸素療法など)
◆ 重症喘息の抗IgE抗体療法(ゾレア注)・抗IL-5療法(ヌーカラ注・ファセンラ注
)・抗IL-4/IL-13療法(デュピクセント注)・抗TSLP療法(テゼスパイア注)
◆公害医療機関(気管支喘息)
◆睡眠時無呼吸症候群
COPDって何?
COPDは進行性に気道狭窄(きょうさく)や肺胞の破壊をきたす怖い病気COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、気管支の炎症(えんしょう)や肺胞の破壊が混じり合って気道の狭窄(気道が狭くなり空気の流れが悪くなる)をきたす病気です。この気道狭窄は、ぜんそくと違って非可逆的(元どおりにならない)であり、通常進行性で す。
大気中の酸素の取り込みがうまくいかなくなり、進行すると慢性呼吸不全に至り酸素吸入が必要となります。そのため、早期に発見して対処することがきわめて重要です。
原因の90%は「タバコ」
タバコをはじめとする有害粒子やガスが気管支や肺に慢性の炎症をもたらし、上皮細胞や血管壁の破壊をきたし、COPDとなります。COPDは60才以上の 男性に圧倒的に多く発症していますが、その年代層の人が青壮年期だった頃の日本人男性の喫煙率が80%以上だったためです。
我が国のCOPD患者数は、予備軍を含めると1千万人以上といわれています。
症状進行が緩徐ゆえ発見が遅れがち
主な自覚症状は、
- 体を動かしたときの息切れ
- 慢性のセキ、たん
- 喘鳴(ゼイゼイ)等。
発作性に症状をきたす「ぜんそく」と異なり、病状進行が緩徐で発見が遅れがちです。
スパイロ検査で早期発見を
スパイロ検査は、COPDの診断に欠かせません。40才以上の喫煙者や息切れなどの自覚症状がある人は、早期診断のためにぜひ受けていただきたい検査です。
COPD治療の基本は「禁煙」
最大の危険因子であるタバコを中止することが治療の根幹です。薬物療法は、吸入抗コリン薬、β刺激薬、テオフィリン薬等の気管支拡張薬が主です。呼吸困難の改善には、呼吸リハビリテーションが有効です。
呼吸不全例では酸素療法を行います。 また、気道感染がCOPD急性増悪の主因であるため、インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種を行います。
吸入療法が主役です。薬を上手に吸えているか確認しましょう!
COPDリンク集
気管支喘息
どんな病気でしょう?
長引くセキ、特に夜間や運動時にせき込み「ヒューヒュー、ゼイゼイ」と鳴る場合、気管支ぜんそくがまず疑われます。
ぜんそくの発作は、空気の通り道である 「気道」が急に狭くなって呼吸困難をきたすもので、重度の場合酸素欠乏となり死に至ることもあります。
ぜんそくというと、この発作のときだけ治療すればよいと思われがちですが、決してそうではありません。研究が進み、ぜんそくでは発作の有無にかかわらず常に気道に炎症(えんしょう)があることが分かり、この 「慢性的な気道の炎症」を予防的に抑えることが重視されるようになりました。
気道の炎症とは?
気道に好酸球やリンパ球などの炎症細胞が集まってヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインといった炎症を引き起こす物質を出すと、気道の粘膜が傷害を受けて荒れた状態になり、少しの刺激でも過敏に反応するようになります。これがぜんそくの気道炎症で、発症早期・軽症のぜんそく患者さんからすでに見られ、 無症状期でも常に起こっているのです。
その発生には、ダニ、カビ、動物のフケ、花粉などのアレルゲンや、たばこの煙、排気ガスなどの環境要因と遺伝要因が関わっています。
気道が狭くなる
過敏な気道に刺激が加わると、気道の筋肉が収縮し粘膜が腫れ分泌物が増えて気道が狭くなり、呼吸しにくくなります。これがぜんそく発作です。
また、気道炎 症が続くと、気道の壁が永続的にかたく厚くなってしまう「リモデリング」という現象が起こります。すると気道がさらに過敏になり、発作が容易に起こるとともに治療への反応が悪くなり、ぜんそくが重症難治化してゆきます。ですから、発症早期・軽症のうちから気道炎症を鎮めてしまう治療が重要です。
気道を刺激する物質を避ける
まず、気道を刺激して炎症を悪化させるものをさけるのが基本です。
原因となっているアレルゲンを皮膚反応や血液検査などで調べ、何に対してアレルギー反応を起こすかが分かれば、それをさけることがぜんそくの改善につながります。日本では、ほこりの中のダニやペットの毛やフケがアレルゲンとなっている方が多く見られます。そこで、こまめに掃除をする、布団をよく乾燥させてそれに掃除機をかける、ペットは室内で飼わない、といったことが必要です。
次に、かぜをきっかけにぜんそくが悪化することが多いので、日頃からうがいなどでかぜを予防することが大切です。また、タバコ、大気汚染が悪いのは当然として、線香、 花火、殺虫剤、香水などの刺激性物質を吸わないようにすることや、ストレス、過労をさけることも大切です。
あとで述べますぜんそくの抗炎症(えんしょう)治療が不十分な場合、飲酒や運動、気象の変化で発作が起こりますので注意しましょう。さらに、約1割の患者さんでは、痛み止めや熱ざましの薬によって悪化し、中には命にかかわる大発作にいたるケースもあるので気を付けましょう。
炎症を抑える薬を使う
ぜんそくの薬物療法は大きく2つに分けられます。「気道の炎症をおさえる薬(抗炎症薬)」と「せまくなった気道をひろげる薬(気管支拡張薬)」で、とくに抗炎症薬が発作の予防薬として治療の基本になります。その代表が吸入ステロイド薬です。
喘息の薬物療法
ぜんそくの治療で重要なのは、発作のベースとなる慢性の気道炎症を鎮めることです。
ぜんそくの薬物療法は、「気道の炎症をおさえる薬(抗炎症薬)」と「せまくなった気道をひろげて発作をおさえる薬(気管支拡張薬)」の大きく2つに分けられ、特に抗炎症薬が発作の予防薬として主役を演じます。
抗炎症薬の代表、吸入ステロイド薬
吸入ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)は、最も強力な抗炎症作用を持ち、気道の過敏さをよく改善し、ぜんそく治療の基本薬といえます。
飲み薬や注射のステロイド薬では、長期間使い続けると「胃かいよう」「糖尿病」「骨粗しょう症(骨がもろくなる)」などの副作用が問題となります。一方、吸入ステロイド薬は、粉末または霧状のものを直接吸い込み気道に届かせることで、ごくわずかな薬の量で気管支に直接作用させることができるので、全身の副作用の心配がなく安心して使えます。
最近になり、小児に対しても世界的に第1選択薬として推奨されるようになりました。抗アレルギー薬も抗炎症薬に分類されますが、吸入ステロイド薬に比べ効果は弱いです。テオフィリン薬にも弱い抗炎症作用があります。
症状を緩和する気管支拡張薬
気管支拡張薬は、長時間作用が持続して日常の症状を抑えるものと、即効性で短時間作用して発作のときに緊急に用いるものと、大きく2つに分けられます。
前者には、除放性テオフィリン薬(内服)、長時間作用性β刺激薬(吸入、貼り薬、内服)があります。
後者の「発作止め」の代表は、短時間作用性β刺激薬の吸入薬です。スプレー状の薬を吸入することで発作を鎮められますが、抗炎症薬を使わずにこればかりに頼っていると、重度の発作に移行して手遅れとなりうるので注意しましょう。