アレルギー科

アレルギー症状に苦しむ人

アレルギー性疾患:ぜんそく、気管支喘息、小児喘息、アナフィラキシー、吸入指導、花粉症、アトピー性皮膚炎、じんましん、食物アレルギー、蜂アレルギーなど

アレルギー疾患の減感作療法(スギ花粉・ダニ:皮下注射)、スギ花粉症・ダニアレルギーの舌下免疫療法、アナフィラキシー治療薬「エピペン」処方、重症アトピー性皮膚炎の抗IL-4/IL-13療法(デュピクセント注)、重症花粉症の抗IgE抗体療法(ゾレア注)、慢性じんましんの抗IgE抗体療法(ゾレア注)・抗IL-4/IL-13療法(デュピクセント注) 

そもそもアレルギーとは何ですか?

「アレルギー」という言葉の起源は、ギリシャ語の「奇妙な(allos)」と「反応(ergo)」の合成語で、生体にに外から何らかの作用を与えたときに、従来とは変わった奇妙な反応をおこす場合をさしたのが始まりです。
これが現在では、「免疫反応が強くなりすぎて、生体に障害をおよぼすほどになったもの」という意味に理解されています。
人間には外から有害な刺激を受けた場合に、それを排除したり無力化しようとする免疫反応があります。

たとえば、一度麻疹(はしか)にかかると麻疹ウイルスにたいする抗体ができ、もう一度麻疹ウイルスが入ってきても免疫反応によって発病しなくてすみます。このような本来は人間にとって有利なはずの免疫反応が、どういうわけか人間にとって不利に反応する場合があります。これを「アレルギー反応」と呼んでいます。

アレルギー反応によっておこる病気は?
アレルギー症状に苦しむイメージ


実にたくさんあり、その代表格として気管支ぜんそく、アレルギー性結膜炎、花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどがあげられます。アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体内に侵入した際に、それを排除しようとする生体の”過剰”反応がいろいろな臓器におこることによりこれらの病気がおこります。

アレルギー病は増加していますか?

ここ数年増加の一途をたどっています。ぜんそくは成人で人工の3〜4%、小児で4〜7%と、60年頃の3〜5倍に増えており、スギ花粉症にいたっては10%をかなり上回り東京近郊では20%強という多さです。
さらに、何らかのアレルギー病を持っている割合は、子供で30〜40%、成人で22%と、大変な数に上り、しかも今後とも増加すると予想されており、これは世界的な傾向でもあります。

アレルギー病は家族内での発症が高く、素因が関わっているのは明らかですが、それのみではこの増加は説明できず、環境要因の関与が大きいと考えられています。住環境・生活環境の変化、アレルゲンの増加、食生活の変化、大気汚染、ストレスの増加など、文明の発達と共に変化してきた多くの要因が関わっていると考えられており、アレルギー病が”文明病”といわれるゆえんです。

アレルギー疾患リンク集

花粉症

極力、花粉を吸わないようにする
  1. 晴天で風が強い日や雨の日の翌日は特に花粉が多いので、外出を避けるのが賢明です。
  2. マスク、メガネなどを着け、目と鼻をガードしましょう。
  3. 肌の露出の少ない、花粉が付きにくい素材の服を着ましょう。
  4. 外出後はよく花粉をはらってから室内へ。
  5. 窓や戸をできるだけ開けない。換気するなら早朝がおすすめです。空気清浄機の設置も期待できます。
  6. 洗濯物、ふとんを外に干さない。
  7. 掃除機やぬれ雑巾で屋内に入り込んだ花粉をくまなく除去する。
治療は花粉が飛び始める前にスタート
スギ花粉が飛んでいるイメージ

「初期療法」が賢いやり方です。
スギ花粉は2月から4月に飛ぶと思われていますが、実際にはわずかながら冬の間に飛び始めています。 花粉予報の「飛散開始日」より2週間ほど前(1月下旬頃)から抗アレルギー薬治療を始めるのがよいでしょう。この「初期療法」により、症状の出現を遅らせ、さらに症状を軽減できシーズン中に強い薬を使う量や回数を減らせます。
また、シーズン中は薬を続けることが大切です。症状に応じて内服薬、点鼻薬、点眼薬を併用します。とにかく症状の出る前に、あるいは出てしまっても軽いうちに押さえ込むのがコツです。
洗鼻、洗眼や、風呂の温度ぐらいの水蒸気を器械で吸入する温熱療法も効果的です。より根本的な治療として、花粉に対する抵抗力をつける減感作療法があります。

病気に負けない体をつくる

バランスの良い食事をとる、アルコールを控える、十分な睡眠をとる、日頃から適度な運動で体力をつけておく、ストレスを解消する、禁煙など、いずれも大切です。昔ながらの乾布まさつ、冷水まさつなどで皮膚を鍛錬しておくことも効果があります。

重いスギ花粉症の方に朗報!花粉症の根治療法に新薬登場

2014年10月から「シダトレン」による舌下免疫療法が可能となりました。
従来の注射による減感作療法に比べてアナフィラキシーの副反応が少なく、通院の頻度も少なくなります。

花粉症リンク集

気管支喘息

どんな病気でしょう?

長引くセキ、特に夜間や運動時にせき込み「ヒューヒュー、ゼイゼイ」と鳴る場合、気管支ぜんそくがまず疑われます。

ぜんそくの発作は、空気の通り道である 「気道」が急に狭くなって呼吸困難をきたすもので、重度の場合酸素欠乏となり死に至ることもあります。ぜんそくというと、この発作のときだけ治療すればよいと思われがちですが、決してそうではありません。研究が進み、ぜんそくでは発作の有無にかかわらず常に気道に炎症(えんしょう)があることが分かり、この 「慢性的な気道の炎症)」を予防的に抑えることが重視されるようになりました。

気道の炎症とは?

気道に好酸球やリンパ球などの炎症細胞が集まってヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインといった炎症を引き起こす物質を出すと、気道の粘膜が傷害を受けて荒れた状態になり、少しの刺激でも過敏に反応するようになります。これがぜんそくの気道炎症で、発症早期・軽症のぜんそく患者さんからすでに見られ、 無症状期でも常に起こっているのです。
その発生には、ダニ、カビ、動物のフケ、花粉などのアレルゲンや、たばこの煙、排気ガスなどの環境要因と遺伝要因が関わっています。

気道が狭くなる

過敏な気道に刺激が加わると、気道の筋肉が収縮し粘膜が腫れ分泌物が増えて気道が狭くなり、呼吸しにくくなります。これがぜんそく発作です。
また、気道炎 症が続くと、気道の壁が永続的にかたく厚くなってしまう「リモデリング」という現象が起こります。すると気道がさらに過敏になり、発作が容易に起こるとともに治療への反応が悪くなり、ぜんそくが重症難治化してゆきます。ですから、発症早期・軽症のうちから気道炎症を鎮めてしまう治療が重要です。

気道を刺激する物質を避ける

まず、気道を刺激して炎症を悪化させるものをさけるのが基本です。

アレルゲン

原因となっているアレルゲンを皮膚反応や血液検査などで調べ、何に対してアレルギー反応 を起こすかが分かれば、それをさけることがぜんそくの改善につながります。日本では、ほこりの中のダニやペットの毛やフケがアレルゲンとなっている方が多く見られます。そこで、こまめに掃除をする、布団をよく乾燥させてそれに掃除機をかける、ペットは室内で飼わない、といったことが必要です。

次に、かぜをきっかけにぜんそくが悪化することが多いので、日頃からうがいなどでかぜを予防することが大切です。また、タバコ、大気汚染が悪いのは当然として、線香、 花火、殺虫剤、香水などの刺激性物質を吸わないようにすることや、ストレス、過労をさけることも大切です。

あとで述べますぜんそくの抗炎症(えんしょう)治療が不十分な場合、飲酒や運動、気象の変化で発作が起こりますので注意しましょう。さらに、約1割の患者さんでは、痛み止めや熱ざましの薬によって悪化し、中には命にかかわる大発作にいたるケースもあるので気を付けましょう。

炎症を抑える薬を使う

ぜんそくの薬物療法は大きく2つに分けられます。「気道の炎症をおさえる薬(抗炎症薬)」と「せまくなった気道をひろげる薬(気管支拡張薬)」で、とくに抗炎症薬が発作の予防薬として治療の基本になります。その代表が吸入ステロイド薬です。

喘息の薬物療法

ぜんそくの治療で重要なのは、発作のベースとなる慢性の気道炎症を鎮めることです。

ぜんそくの薬物療法は、「気道の炎症をおさえる薬(抗炎症薬)」と「せまくなった気道をひろげて発作をおさえる薬(気管支拡張薬)」の大きく2つに分けられ、特に抗炎症薬が発作の予防薬として主役を演じます。

抗炎症薬の代表、吸入ステロイド薬

吸入ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)は、最も強力な抗炎症作用を持ち、気道の過敏さをよく改善し、ぜんそく治療の基本薬といえます。
飲み薬や注射のステロイド薬では、長期間使い続けると「胃かいよう」「糖尿病」「骨粗しょう症(骨がもろくなる)」などの副作用が問題となります。一方、吸入ステロイド薬は、粉末または霧状のものを直接吸い込み気道に届かせることで、ごくわずかな薬の量で気管支に直接作用させることができるので、全身の副作用の心配がなく安心して使えます。
最近になり、小児に対しても世界的に第1選択薬として推奨されるようになりました。抗アレルギー薬も抗炎症薬に分類されますが、吸入ステロイド薬に比べ効果は弱いです。テオフィリン薬にも弱い抗炎症作用があります。

症状を緩和する気管支拡張薬

気管支拡張薬は、長時間作用が持続して日常の症状を抑えるものと、即効性で短時間作用して発作のときに緊急に用いるものと、大きく2つに分けられます。

前者には、除放性テオフィリン薬(内服)、長時間作用性β刺激薬(吸入、貼り薬、内服)があります。

後者の「発作止め」の代表は、短時間作用性β刺激薬の吸入薬です。スプレー状の薬を吸入することで発作を鎮められますが、抗炎症薬を使わずにこればかりに頼っていると、重度の発作に移行して手遅れとなりうるので注意しましょう。

吸入療法が主役です。薬を上手に吸えているか確認しましょう!
気管支喘息リンク集